今、毎日耳にする遺伝子解析技術はPCRでしょう。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、私たちが毎日使っているPCRがこれほどまでに有名になるとは思いませんでした。
でも、みなさんは毎日耳にするPCRを説明することができますか?
メリット・デメリットを理解していますか?
PCRって毎日きくけど、説明なんかできんワン!
うめちゃんにも分かるように説明できるかなぁ・・・
(うめこは我が家の黒柴犬です)
PCRのことが説明できなかったあなたも、今回の記事でPCRの基本やメリット・デメリットの説明ができるようになります。
1.一番身近な技術
PCRは生物(ウイルスは生物と無生物の間のようなものですが)の設計図であるゲノムを構成する化学物質である核酸を分析するための最も基本的な方法です。
DNAポリメラーゼとオリゴヌクレオチドプライマーを用いて反応温度を調節することによって、何らかのシグナルの形で検出できるまで増幅して標的とする核酸の有無を調べることができます。
また、これを応用すれば更にその標的となる核酸の配列を調べることもできます。
PCRは原理的に、反応中にごく少ない量でも標的となる核酸があれば検出できるような技術で、メリットとデメリットは以下です。
・メリット:
1反応中にごく少ない量でも標的となる核酸があれば検出できるために検出感度が高いこと、簡便であること
・デメリット:
場合によっては検出感度が高すぎること・コンタミネーション(汚染)の影響が強いこと、場合によってはコストや時間がかかりすぎること
2.核酸増幅検査
現在、遺伝子検査という言葉は、必ずしも遺伝子を標的にするわけではなく、様々な誤解を生んでしまうため、適切な名前が付けられ、分類されています。
実は「PCR検査」という検査の分類はなく、一般に新型コロナウイルスのPCR検査で知られる検査は「核酸増幅検査(NAT)」と呼ばれています。
・核酸増幅検査(NAT):Nucleic Acid Amplification Test/Technique/Technology
核酸増幅法はPCRだけでなく他の方法もあり、実際新型コロナウイルスの検査もLAMP法やTMA法などの等温増幅による方法も使われています。
そのため、「NAT」の方がより適切で、PCR検査というのはあくまで手軽に使える言葉として使われているということを理解しておいた方がよさそうです。
また、新型コロナウイルスを調べるPCRは、ただのPCRではなく「リアルタイムRT-PCR」です。
References:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23964908/
Polymerase chain reaction: basic principles and applications in molecular pathology
Libor Staněk et al. Cesk Patol. 2013 Jun;49(3):119-21.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32302058/
Laboratory testing of SARS-CoV, MERS-CoV, and SARS-CoV-2 (2019-nCoV): Current status, challenges, and countermeasures
Ying Yan et al. Rev Med Virol. 2020 May;30(3):e2106.
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