遺伝性腫瘍のつづきです。
うめちゃんついてこれてる?
もちろんきゃーん
多発性内分泌腫瘍症1型
下垂体・膵ランゲルハンス島・副甲状腺腫瘍や過形成のリスクが高まります。
副甲状腺腫瘍が主な内分泌障害で、ほとんどが20〜25歳で発症し、50歳までに高カルシウム血症となります。
原因はMEN1遺伝子の病的バリアントで、遺伝学的検査は保険の検査になっています。
多発性内分泌腫瘍症2型
甲状腺髄様がん、副甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫のリスクが高まります。
主にMEN2A、MEN2Bおよび家族性甲状腺髄様がん(FMTC)の3つの病型に分類されます。
原因はRET遺伝子の病的バリアントで、遺伝学的検査は保険の検査になっています。
RET病的バリアントが同定された患者に対しては予防的甲状腺全摘術が検討されます。
RET遺伝子はがん遺伝子なので、病的バリアントはタンパクの機能亢進にはたらきます。したがって、正常なもう片アレルに後天的な病的バリアントが発生しなくても、先天的な片アレルの病的バリアントのみでがん化につながるという特徴があります。

網膜芽細胞腫
網膜芽腫、骨肉腫、肉腫のリスクが高まります。
小児の網膜芽細胞腫ではRBを疑います。
患児の約60%が片眼性であるのに対し、40%が両眼性で、診断年齢は15〜24ヶ月です。
原因はRB1遺伝子の病的バリアントで、遺伝学的検査は保険の検査になっています。
RB1は細胞周期を調節する因子で、非常に重要なはたらきをしており、がん化においては、TP53経路とRB1経路といわれるぐらいに腫瘍の体細胞変異でもよく知られています。
最近はRB1の遺伝学的検査を着床前診断の対象にするかしないかで議論となっています。
フォン・ヒッペル・リンドウ病
脳腫瘍、網膜血管腫、小脳・延髄・脊髄の血管芽細胞腫、腎・膵・肝・副腎等ののう胞・腫瘍のリスクが高まります。
網膜血管芽腫はVHLの初期徴候と考えられ、失明の原因になり得るようです。
腎細胞がんはVHL患者の25-50%で発症し、主要な死因となるようです。
原因はVHL遺伝子の病的バリアントです。
悪性黒色腫
黒色腫(皮膚がん)と膵臓がんのリスクが高まります。
原因はCDKN2A遺伝子の病的バリアントです。
CDKN2A遺伝子は細胞周期の調節で重要な因子の一つCDKインヒビターですね。
遺伝性腫瘍まとめ
有名どころの遺伝性腫瘍を紹介してきましたが、他にも遺伝性の胃がんなどもあります。
多くはがん抑制遺伝子が原因で2ヒット仮説の1ヒット目の病的バリアントが先天的にあるようなものですが、RETのようにがん遺伝子が原因で1ヒットのみで発症するようなものもあります。
遺伝性腫瘍も臨床像が重なることがあるため、ひとつひとつの遺伝子を調べていてはコストも時間もかかるため、数十遺伝子を一度に調べるパネル検査も導入されつつあります。
年々保険が適応されるようになってきていて、今のところはBRCA1, BRCA2, MEN1, RET, RB1が保険で検査できます。
おおまかに、遺伝性腫瘍の遺伝学的検査をする意義は以下の通りです。
・既発症の発端者:次のがんをサーベイランスして早期発見できること。予防的な手段を検討できること。
・未発症の血縁者:発端者の病的バリアントがなければリスクが一般と同じであり安心できること。発端者の病的バリアントがあればがんのサーベイランスに役立てることができること。
国民皆保険の検査は、基本的に病気になった人にしか適応されないため、未発症の血縁者検査はいつまでも保険適応にならない可能性があります。
早く発症していない人の予防的な検査が保険でできるようなシステムになってほしいですね。疾患が予防できた方が、医療経済的にもいいですしね。
そして、早くがんを恐れなくてもよい時代になってほしいですね。
REFERENCES
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情報を見る自分の目にこそバイアスがかかっているってことは、自分の都合のいいように理解しているっていうことですね。
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最近、うめこのブログを再開しました〜
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