悪性腫瘍遺伝子検査(1)
前回、体細胞遺伝子検査について、悪性腫瘍遺伝子検査と悪性腫瘍ゲノムプロファイリング検査があるよというお話をしました。
今回は、悪性腫瘍遺伝子検査の中身についてです。
悪性腫瘍遺伝子検査について詳しいよ!という方はいますか?
うめちゃんは詳しい?
知らんきゃん!
これから続く一連の記事で、悪性腫瘍遺伝子検査の概略がわかるようになります。
悪性腫瘍遺伝子検査は、がんの治療に用いる分子標的薬の効果予測・適応について、特定の1つから複数の遺伝子のドライバー変異の有無を調べる検査です。
各がんの種類によって決められた検査があります。
また、最近、がん種横断的にみとめられた検査もあります。
まず有名なものにEGFR遺伝子やBRAF遺伝子の検査があります。
これらは肺がんの分子標的薬の適応を判断するために使われる検査です。
それではがん種別に見ていきましょうかね。

肺がん
肺がんは特にゲノムの不安定性が高く、DNAの変化がたくさん起きているといわれています。
そのDNAの変化によって暴走したタンパクの機能を特異的に阻害するのが分子標的薬です。
・上皮増殖因子受容体(EGFR)の遺伝子変異
⇒EGFR阻害剤
・ALK融合遺伝子
⇒ALK阻害剤
・ROS1融合遺伝子
⇒ROS1阻害剤
・BRAF遺伝子変異
⇒BRAF阻害剤、MEK阻害剤
・MET遺伝子変異
⇒MET阻害剤
・PD-L1タンパク発現
⇒免疫チェックポイント阻害剤
最後のPD-L1はタンパク発現を検査するので、遺伝子検査ではなく、免疫染色(IHC)といわれる病理標本を染色して顕微鏡を用いる検査です。
肺がん以外の免疫チェックポイント阻害剤の適応については、マイクロサテライト不安定性(MSI)検査というDNAを調べる検査を用います。
肺がんは固形がんのなかでも特に多くの分子標的薬があるというのが特徴ですね。
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