前回紹介した遺伝子関連検査をそれぞれみていきたいかなと思います。
感染症の検査やで~
カンセンショー?
病原体核酸増幅検査
体液などから抽出した核酸を用いて、最近ではだれでも知っている、新型コロナウイルスをRT-PCRで行う検査が代表例です。病原体であれば、細菌も対象となります。
PCRなどの核酸増幅を総称してNucleic Acid Amplification(NAT)といい、病原体の核酸を増幅する検査は全般的にNATが用いられています。
新型コロナウイルス検査
鼻腔洗浄液や唾液からRNAを抽出し、逆転写した後、リアルタイムPCRで検出します。リアルタイムPCRだけでなく、LAMP法やTMA法など様々なNATが使われています。
詳しくは、下記の記事で説明していますので、リンクをみてみてください。
【3】PCRとは
【4】リアルタイムRT-PCRとは(1)
【5】リアルタイムRT-PCRとは(2)
検査の目的は体内の新型コロナウイルスの有無を検出することです。
感染症の病気の診断方法は通常、症状があるものを特定するためにNATで確定診断するのですが、新型コロナは自覚症状がなくても診断・隔離措置等がされており、感染症の診断としては異質なものとなっています。
PCRで陽性であるだけで、必ずしも感染しているとはいえません。
PCRで陰性だからといって、必ずしも感染していないともいえません。
これは当初から言われていることですが、新型コロナが感染症の診断として異質であるため、よく留意しておく必要があるようにと思います。

肝炎ウイルス検査
C型肝炎ウイルス検査はHCV、B型肝炎ウイルスはHBVが標的です。
血清から抽出したRNAを用いて、NATによってHCVやHBVを検出します。
検査は定性検査や定量検査があります。
定性検査によって感染の有無を調べ、定量検査によって治療効果を確認します。
また、HCVはウイルスの型(バリアント)を調べること(ジェノタイピング)により、治療の抵抗性などの情報がわかります。
HCV遺伝子型:1a, 1b, 2a, 2b, 3a, 3b, 4a, 5a, 6a
タイプによって治療効果が異なり、治療の保険適用が異なるようです。
ウイルス性肝炎は肝硬変、肝がんに進む可能性があるため、怖い病気のひとつです。
昔はウイルス性肝炎の治療は難しかったのですが、検査(NAT)や治療(分子標的薬)が進歩して完治するようになってきているようです。
エイズウイルス検査
エイズウイルス検査はHIVが標的です。
血清から抽出したRNAを用いて、NATによってHIVを検出します。
献血された血液がHIVに感染していないかどうかについて、輸血に使う前に日本赤十字社で調べられています。
(献血血液のNATの対象はHBV,HCV,HEV,HIVです。)
エイズは昔から怖いというイメージがありますが、このエイズも、検査(NAT)や治療(予防薬)が進歩してエイズの発症を予防できるようになってきているようです。
結核検査
結核は結核菌が標的です。
喀痰(たん)などから抽出したDNAを用いてPCRなどの様々な手法で検出します。
結核も、歴史上の人物では石川啄木、瀧廉太郎、正岡子規が亡くなったように、昔は治療は難しかったのですが、検査(NAT)や治療(分子標的薬)が進歩して完治するようになってきているようです。
上記以外にも、性感染症(クラミジアや淋菌)などの検査もあります。
病原体の診断を目的としたPCRは、今でこそ注目されていますが、実は20年以上前から実用化されています。

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