遺伝子バリアントの各論のつづきです。
次に塩基配列の変化のうちの塩基欠失や塩基挿入によるものをみていきましょう。
フレームシフトは前にでてきたから聞いたことあるやんね?
あるわんわん♪
フレームシフトバリアント
塩基欠失や塩基挿入によりアミノ酸の読み枠がシフトする(ずれる)バリアント(結果的に正常と違うタンパクが合成され、正常よりも短い(長い)タンパクとなる)のことをフレームシフトバリアントといいます。
・塩基欠失
例:塩基Tが欠失することによりフレームシフトが起こり、ストップコドンが発生した。
野生型:TGT ATG(Cys-Met:システイン-メチオニン)
変異型:TGA TG(*:ストップコドン)
・塩基挿入
例:塩基Aが挿入することによりフレームシフトが起こり、ストップコドンが発生した。
塩基が挿入されること
野生型:TGT(Cys:システイン)
変異型:TGA T(*:ストップコドン)
・塩基重複
例:塩基Tが重複するように挿入することによりフレームシフトが起こり、ストップコドンが発生した。
野生型:TTT GAT(Phe-Asp:フェニルアラニン-アスラギン酸)
変異型:TTT TGA T(*:ストップコドン)
ストップコドンは3種類あります。
TGA
TAA
TAG
上記の例のように、アミノ酸のフレームがシフトすることで、以降のコドンが変わることをフレームシフトといいます。
フレームがシフトすると最終的にはどこかでストップコドンが発生します。
フレームシフトは、正常よりも前にストップコドンが発生して正常よりも短いタンパクとなるトランケーションとなってタンパクの機能を失うことが多いですが、フレームシフトがコーディング領域の終わりの方でできると、正常よりも長いタンパクとなって機能を失うこともあります。
フレームシフトにより、前回のナンセンスバリアントと同様に、NMDが起きることでタンパク合成量が少なくなるとともに、トランケーションによってタンパクの機能もなくなってしまう可能性が高いと理解できます。
ナンセンスバリアントと同様に、このフレームシフトバリアントも、がんの発生を抑えるようなはらたきをするがん抑制遺伝子の機能喪失型のバリアントのなかでは、比較的頻度が高いです。
わかったかな?
わかったワ~ン
ほんまかいなー
REFERENCES
An Introduction to Genetic Analysis. 7th edition.
How DNA changes affect phenotype
All Termination Events Are Not Equal: Premature Termination in Yeast Is Aberrant and Triggers NMD
Nadia Amrani and Allan Jacobson.
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