どのようにして1つの遺伝子から複数のタンパク質を作ることができるのでしょうか?
という疑問をもって話をしてきました。
その秘密は、以下でお話するmRNAのスプライシングの多様性にあります。

5.プロセシング
DNAから転写されたmRNAの成熟過程をプロセシングといいます。
そのうち、イントロンが切り出されるプロセスをスプライシングといいます。
5.1スプライシング
上述のように、mRNAの成熟過程でエクソンからイントロンが切り出されることをスプライシングといいます。
エクソンとイントロンの境界にはスプライスドナーサイトとスプライスアクセプターサイトというシグナル配列があります。
イントロンの最初の配列をスプライスドナーサイトといい、その最初のGTという2塩基はよく保存されています。
イントロンの最後の配列をアクセプターサイトといい、最後のAGという2塩基もよく保存されています。
スプライシングの過程で、GTとAGというシグナル配列を頼りに、スプライスドナーサイトがスプライスアクセプターサイトとつながり、イントロンが切り出されます。
エクソン1/GT–イントロン1–AG/エクソン2/GT–イントロン2–AG/エクソン3
↓
エクソン1/エクソン2/エクソン3
5.2選択的スプライシング
スプライシングには多様性が知られており、これが選択的スプライシングといわれています。
この選択的スプライシングにより、1つの遺伝子から違うパターンのエクソンがつながったトランスクリプト(転写産物)がつくられ、そのトランスクリプトからタンパク質がつくられます。
・通常のスプライシングの例:
エクソン1/エクソン2/エクソン3/エクソン4
・選択的スプライシングの例:
エクソン1/エクソン2/エクソン4
このようにして、1つの遺伝子から複数のタンパク質ができるというわけです。
選択的スプライシングの原理として、エクソンスキッピングや相互排他的エクソンといった概念が知られています。
また、スプライシングを調節する因子や調節にかかわる配列もエクソン上やイントロン上にあります。
選択的スプライシング・スプライシングを調節する機構はけっこう難しいので、また別の機会を見つけて紹介します。
うめちゃん分かった?
ワン!
REFERENCES
Molecular Cell Biology. 4th edition.
Section 11.3Regulation of mRNA Processing
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